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【ライブレポート】「DANCE FLOOR MASSIVE FINAL」いよいよ開幕!初日ステージを終えたメンバー直撃コメントも!

 デビュー25周年イヤーを記念し、期間限定で再集結中のRIP SLYMEが、全国ツアー「RIP SLYME TOUR 2025 DANCE FLOOR MASSIVE FINAL」の初日公演を、10月3日、KT Zepp Yokohamaで開催した。「DANCE FLOOR MASSIVE」(以下DFM)は彼らの代名詞となっているツアーシリーズで2004年の第1回を皮切りに、2006年、2008年、2013年、2016〜2017年と、これまでに5回実施。今回が6回目にしてファイナルとなる。
 今年5月から10月にかけて(本記事執筆時点で)16本にも及ぶフェスに参加してきたRIP SLYMEだが、5人体制によるワンマンライブは8年ぶり。彼らが5人でライブを最後に行ったのは2017年2月26日、沖縄・ナムラホールで行われた「DANCE FLOOR MASSIVE V」だった。つまり、DFMで止まっていた時計の針が、再びDFMで動き出したことになる。

 RIP SLYMEのライブは遅刻厳禁だ。なぜなら彼らのライブは定刻通りに始まるのが習わしだから。しかも、開演時刻に向けてカウントダウンしていくのがRIP SLYMEの流儀。今回も開演前のスクリーンにはツアーロゴとライブ開始までの時間を伝える画面が投影されていた。10分前、5分前、3分前、1分前と来て、30秒前になったところで1秒ずつ秒読みがスタート。一緒にカウントダウンする観客の声がどんどんどんどん大きくなっていく。そして、5、4、3、2、1……。会場の熱気は最初のピークに達し、地響きのような大歓声が沸き起こる中、待ち望んだRIP SLYMEのワンマンライブがついに幕を開けた。

 この日はアンコールを含めて全30曲以上、およそ2時間にわたるライブを展開。再始動を告げた新曲「どON」では場内に大合唱が起こり、観客の腕を彩るホワイト、オレンジ、イエロー、ブルー、グリーンの5色のブレスライトがビートに合わせてフロアで揺れる。都会の夏に涼を運ぶことをテーマにして作られた「Chill Town」では夕暮れのような照明がやさしく場内を包み、火照った身体をゆっくりじっくりクールダウンする。最新ベストアルバム『GREATEST FIVE』収録曲を中心にしたセットリストで、オールドファン歓喜の曲や、RSフリーク垂涎の楽曲も惜しみなく披露された。

 蛍光色のように明るいハイトーンボイスで歌い、煽りまくるPES。魅惑の低音ボイスで観客をしびれさせるSU。メロウな倍音ボイスでスピットするILMARI。リズミカルなラップと巧みなMCで場をコントロールするRYO-Z。超絶スクラッチと抜群のツナギで4MCを支えるFUMIYA。空白の時間を埋めるように、5人は思い思いにライブを楽しみながらステージ上で躍動する。揃ってステップを踏んだり、振付を踊ったり、ジャンプしまくったり、タオルをぶん回したりと、一瞬たりとも目が離せないステージ。過去に彼らのライブに訪れた人ならわかるような“RIP SLYMEの様式美”といえる演出も到るところにちりばめられていた。途中にはFUMIYAがラップを繰り出す曲もあるし、中盤にはスペシャルゲストとしてWISEとおかもとえみも登場。興奮と絶頂の波が何度も訪れる構成で、ドーパミンやエンドルフィンといった幸せホルモンが脳内に大量分泌されていく2時間だった。

 MCでRYO-Zが「今日はターンテーブルもサンプラーも、使えるものはすべて駆使して、KT Zepp Yokohamaをしっかりとダンスフロアに変えますんで!」と宣言していたが、DFMは彼らの基本にあるダンスミュージックにフォーカスしたライブだ。そのコンセプトをこれでもかと詰め込んだのが、今回のDFMのハイライトといえるライブ後半に訪れるメドレーセクションだった。RIP SLYMEのライブといえば間髪入れず楽曲を繰り出していく構成が見ものだが、今回はなんと!約30分にわたるノンストップメドレーを披露。新旧の人気曲をクイックに繋いでいくつるべ打ちスタイルは圧巻のひと言だった。しかも、RIP SLYMEの多彩なビートをFUMIYAが凝りまくって繋いだメドレーとあって、展開がアメリカのお菓子のように超カラフル。おまけにテンションのギアが一段ずつ上がるようにBPMも徐々に早くなっていく仕掛けになっていって、メドレーの最後は場内のボルテージが限界突破、興奮がMAXに達していた。

 ファイナルツアーだからといって泣かせにかからず、ライブハウスをマッシヴなダンスフロアに変え、観客を熱狂の渦に巻き込んだRIP SLYME。これ以上ないほどに楽しい最高のグッドタイムを届けてくれた5人を終演後に直撃し、初日を終えた感想を聞いた。

FUMIYA「メドレーは緊張しましたね。ミスしないようにって気を遣いすぎたかも。あのメドレーはすごく頑張って作ったんですよ。今回のセトリもすごく悩んで作りました。他の曲もリハーサルでは試しているので、お客さんの反応を見つつ、今後は曲を入れ替えていくかも。早く慣れて、生で遊びを入れられるくらい余裕を出していきたいし、この先、久しぶりに行く街でRIP SLYMEの曲を聴いてもらうのが楽しみです」

ILMARI「今日は少しぎこちない部分もあり、新鮮なところもあり、初日なのでお客さんの反応を見ながらいろいろ感じられた日でした。しばらく歌っていない曲があったり、フェスとは違う構成にしている曲もあるので、まだ身体に入りきってないところがあったなと。今回の見どころのひとつはメドレーですね。こういうやり方は初めてだから。えみちゃんとWISEくんを迎えて5+2になるのも初めてだから僕らのユニティ感にも注目してもらえたら。ここからさらに磨きをかけて、すべてのライブをより良くしていきたいと思います!」

RYO-Z「体力的な問題が心配だったんですけど、やってみて全然できる!って。今日はそういう自信をもらえました。今回、DFMで初めてイヤモニを使ったんですけど、リハと本番で予想以上に音の環境が違ってトラックの音が聞こえづらかったんです。それでドギマギしちゃって1曲目で噛んじゃったんですけど(笑)、その辺はすぐに修正して、最後はしっかり仕上がった状態で千秋楽を迎えられるよう頑張っていきます!」

SU「今日は感謝の念がすごく湧き上がってきましたね。ちょっと泣きそうになっちゃった。単独ライブだからお客さんの愛情が違う。親の前にいる子どもみたいな感じ。だけど久々に会った親だからまだちょっと照れがある。久々に実家に帰ってきた感じでした。お客さんはずっと待っていてくれた人が大半だと思うから、セトリはこれでいいのかとか、MCももうちょっとパーソナルな喋りが多い方がいいのかとか、その辺を考えて練り上げていきたいですね。昔からライブに来てくれていた人は僕たちのグダグダした喋りも楽しみにしてる思うし、初めて来る人にはテレビとかフェスじゃ見られなかった、いつも通りの自分たちを見せていきたい。もうちょっとありのままを出していきたいなって思います」

PES「今日はリハでやったことはだいぶできたけど、初日でしたし、音の環境も含めて早速帰って同録を聴いて確かめます。RIP SLYMEのワンマンは久しぶりだから楽しかったけど、クオリティーを上げてこの先のライブに繋げていけるようにしたいですね。今回のツアーは1ヶ月くらいで終わるけど、まだ先がありますから」

 この日の終演後、彼らの活動休止前ラストライブが発表された。まずは12月24日、25日にZepp Haneda(TOKYO)でクリスマスライブ「GREATEST CHRISTMAS」を開催。これは2000年から2016年までほぼ毎年実施されてきた恒例ライブで、9年ぶりの開催となる。さらに来年3月20日からデビュー日となる3月22日までの3日間には東京・TOYOTA ARENA TOKYOでラストを飾るアリーナ公演を実施。そして今回の「DANCE FLOOR MASSIVE FINAL」からはツアーファイナルである11月15日開催のZepp DiverCity(TOKYO)公演が生配信されることも決定した。(今後のワンマンライブに関する詳細はこちら
彼らがデビュー25周年を迎える2026年3月22日まで残り約5か月。5人はアニバーサリーイヤーをどう駆け抜けるのか。RIP SLYMEの動きからまだまだ目が離せない。

 

インタビュー・文/猪又 孝
写真/砂流 恵介