【ライブレポート】 豪華ゲスト登場のファイナルライブ3Daysを総括! レア曲も満載で最後まで“RIP SLYME全開”の大祝宴!

2026年3月22日。この日、デビュー25周年を迎えたRIP SLYMEが、活動休止前ラストライブとなる「RIP SLYME 25th Anniversary GREATEST LIVE – Final Three Nights –」の最終日公演を東京・TOYOTA ARENA TOKYOで開催した。会場となったTOYOTA ARENA TOKYOは、メジャーデビュー以降、数多くのライブを行ってきたZepp Tokyoの跡地でRIP SLYMEと縁の深い場所。RYO-Zが「活休と言ってもしんみりするのは我々に似合いませんので、最後の最後までド派手なパーティーでいきたい」と呼びかけた通り、この日は新曲の「どON」や「Wacha Wacha」、ヒット曲の「熱帯夜」「楽園ベイベー」「One」、さらに豪華ゲストとのコラボを畳みかける構成で、ダブルアンコールを含めて全30曲、2時間半にわたるステージを展開。観客は楽曲に合わせて終始、体を揺らしてハンズアップし、大きな拍手と声援を送り続け、ハレの日にふさわしい祝祭感あふれるファイナルライブとなった。
3日間にわたり開催された今回の25周年記念ライブには、日替わりでスペシャルゲストがサプライズ出演。登場順に曲目を紹介すると、1日目はスチャダラパーを迎えた「レッツゴー7〜8匹」、SPECIAL OTHERSとの「始まりはQ(9)CUE」、WISE/おかもとえみとの「サヨナラSunset feat. WISE & おかもとえみ (RS5 Remix)」、CHOZEN LEEとの「The Man」。2日目はYO-KINGを迎えた「光る音」、MONGOL800との「Remember」、SAMI-T(Mighty Crown)との「Rightnow! feat. SAMI-T from Mighty Crown (RS5 Remix)」。そして最終日となるこの日は、chayとの「JUMP with chay」、在日ファンク(浜野謙太+ホーン隊3名)との「Vibeman feat. 在日ファンク」、VERBAL(m-flo)を迎えた「パーリーピーポー(Hosted by VERBAL)」、さらに布袋寅泰との「FUNKASTIC BATTLE 〜RIP SLYME vs HOTEI〜」が披露された。











実に多彩な顔ぶれのゲスト陣は、アニバーサリーライブの豪華さを演出するだけにとどまらない。ジャンルや年代を軽々と飛び越え、ロック界のレジェンドからヒップホップ界のパイセン、バンドとの生演奏セッションや、レゲエ/ファンクといった隣接カルチャーまでをも飲み込む幅広さは、RIP SLYMEの守備範囲の広さそのもの。彼らが25年の歩みで築き上げてきた多様な音楽性を“見える化”するコラボとなっていた。
中でも特筆すべきは、SAMI-T、スペアザ、そして布袋寅泰との共演だ。SAMI-Tとの「Rightnow!」はRIP SLYMEが3人体制時代にフェスで一度共演したのみ。スペアザとの「始まりはQ(9)CUE」は、2017年開催のスペアザ10周年記念ツアーでコラボしたが、当時はSUが不参加。布袋との「FUNKASTIC BATTLE」はリリース時のプロモーションイベントで披露され、その後、布袋が2006年に開催したツアーで共演したがFUMIYAが療養中で不在だった。つまり、これら3曲は、“5人の完全体”で、かつ“RIP SLYMEのワンマン”では、今回初めてコラボが実現したことになる。



今回の3日間のステージは、そうしたゲスト曲で全体が区切られる構成となっていた。冒頭のブロックでは、新曲「どON」とデビュー曲「STEPPER’S DELIGHT」を並べることで25年の時間を一足飛びに跳躍し、「熱帯夜」「JUMP with chay」といった代表曲で一気にギアを上げていく。続くセカンドブロックは、RYO-Zが「ライブでお馴染みじゃない曲たち」と語った楽曲群をクイックカットで繋ぎ、シングルヒットだけでは語れないRIP SLYMEの魅力をアピール。長年のファンを喜ばせるクラシックを織り交ぜながら、グループの音楽的な奥行きを浮かび上がらせた。

さらに「One」を軸にした3つめのブロックは、じっくりと聞かせるメロウな名曲を並べ、エモさをくすぐる趣向。その後は、お得意のノンストップメドレーでライブの王道といえる鉄板曲を矢継ぎ早に繰り出し、会場のボルテージをぐいぐい引き上げていく。特に最終日となったこの日は、メドレーの途中に「Good Day adidas Originals remix by DJ FUMIYA」「Good Times」というフロアバンガーを取り入れ、場内がヒートアップ。その後の「楽園ベイベー」の間奏ではFUMIYAがDJブース上方のカメラを見ながら(つまり手元を一切見ずに)スクラッチを繰り出す超絶技巧を披露する場面もあった。続く「FUNKASTIC BATTLE 〜RIP SLYME vs HOTEI〜」では布袋が弾く爆音のギターと4MCの力強いスピットがぶつかり合い、会場の興奮が頂点へ。そして、本編ラストは春の旅立ちをテーマにした「Dandelion」。 “Very Specialなストーリー”という歌詞が、25年という歳月に重なり、場内は深い余韻に包み込まれていった。
またゲストパートでは、各アーティストが「25年おめでとう!」などと祝福の言葉を添えるのみで、絡みトークは設けられていなかった。その理由について初日の終演後、FUMIYAに聞いたところ「今回は25年の集大成ということで、1曲でもたくさん曲をやりたかったから」とのこと。全国から駆けつけたファンに少しでも多く曲を届けようとするその姿勢にも、RIP SLYMEが常にライブで大切にしてきたおもてなし精神が表れていた。

3日間で特に印象的だった演出や楽曲を挙げると、まずはオープニングの登場シーンだ。開演10秒前に場内が暗転。総立ちになった観客が大きな声で恒例のカウントダウンを数えていく。0になった瞬間、5人それぞれの幼少期やグループ結成当時の写真が誕生日と共にステージ背面のワイドスクリーンに高速で映し出され、やがて「STEPPER'S DELIGHT」から順に、年号入りで過去のジャケット写真やアーティスト写真へと切り替わる。25年の歴史をフラッシュバックさせながら、決めポーズをした今の5人がDJブースの後ろからリフトアップして登場。背面スクリーンの光を背負った5人のシルエットは、まるで戦隊ヒーローのようだ。そのまま1曲目「どON」に突入すると、ワイドスクリーンが縦に5分割されて、それぞれのメンバーを捉えた映像を躍動感たっぷりに映し出す。この一連の演出がめちゃくちゃかっこよく、25周年記念ライブへの期待と興奮を沸点へと押し上げていった。

そして、昨年4月の再集結以降、初めてワンマンで披露された楽曲は、「MORE & MORE」「ミニッツ・メイド」「SPASSO」「NP」「ジャッジメント」「花火」「ピース」「チェッカーフラッグ」「気の置けない二人」「STAIRS」の10曲。PESはMCで、こうしたレア曲も観客が大きな声で歌っていたことに触れ、「3日間やらせていただいて感じるのは、僕たちだけではこの日はなかったなと。みなさんが歌ってくれるから我々もここまで来れました。本当にRIP SLYMEを支えていただいてありがとうございます」と感謝を伝えていた。

久しぶりに披露されたこうしたレア曲では、曲中の振付やメンバーの動きが復活。「ミニッツ・メイド」では、リリース当時話題を集めたJINROのCMの不思議なダンスをオマージュした振付を完全再現。「ジャッジメント」のFUMIYAに向けて手を差し出すポーズや最後の敬礼、「ピース」での行進するような動き、「SPASSO」でステージの端に全員で移動するフォーメーションなど、細部まで再現されていてファン心をくすぐった。
なお「SPASSO」は渋谷パルコのCMソングとして作られた1曲。3日目はRYO-Zが歌詞の一部を“パルコ展、現在、開催中”と替え歌して、『風とリップ展』をさりげなく告知していた。またフォーメーションといえば、アンコールで披露された「Super Shooter」は再集結以降、初めてフル尺で披露され、4人が縦型陣形になって先頭の人間をマネする動きも復活していた。

楽曲を歌うこと自体のレア度では、ファン人気が高い「花火」と甘酸っぱいラブソング「気の置けない二人」が2強だ。前者は2003年の5万人ライブと翌年の「OCEAN’S FIVE」で披露されたのみ。後者はファンクラブイベントを除くと2013年の「GOLDEN XMAS TIME LIVE」で歌われたのみだ。終演後、FUMIYAに「気の置けない二人」をセトリに入れた理由を聞いたところ、「実はビートが強い曲」とのこと。FUMIYAは2日目のMCで「セトリノイローゼ。寝ても覚めてもセトリ。もうわかんなくなってきて盛り上がればいいと思ってミセスの曲やってみようかなって思った」と語り笑いを誘っていたが、今回のセトリはパーティーモード一色だった。RIP SLYMEには「TIME TO GO」「流れの中で」「時のひとひら」「結果論」といったセンチメンタルな人気曲もあるが、その手の楽曲はセトリから外されている。つまり、「気の置けない二人」もグルーヴを損なわずにライブを進行していくための選曲であり、そこには今回のライブを湿っぽくしたくないという意図が明確にあった。

そのFUMIYAは、今回の3日間、MCのBGMに過去アルバムに収録されたインストを用意していた。再集結イヤーのライブでは自作の未発表トラックを流したりもしていたが、今回は25年の集大成ということで、RIP SLYMEの曲を余すことなく届けようとしたのだろう。
また、ライブ名物となったFUMIYAによるMCサンプリングも3日間通して発動。1日目はPESの発言から“なかなかこう”と“ひ、ひとりより、ふ”が爆誕。後者が生まれた際に、RYO-Zが「Oneのリミックスで”One 2(ワン・ツー)”でした」と続けるとメンバーも思わず爆笑していた。2日目はPESの発言から“まあ、ちょっと寂しいかもしれないけど”が生まれ、3日目はILMARIの発言から“よ、よ、よ、よ、良かったです”が飛び出す。中でも一番面白かったのは、2日目のMC中に、PESがヒップホップを愛するRYO-Zを指して放った「時代が産んだ悲しき怪物、ヒップホップモンスター」という言葉から生まれた新曲“時代が産んだ悲しき怪物”だ。RYO-Zはこのフレーズを3日目のMCでも自虐的に使っていて、お気に入りの様子だったが、この言葉が生まれる伏線は1日目にあった。
今回のライブで「黄昏サラウンド」を歌う際、PESが間奏部分で「ヨー、アーイ!」と掛け声を入れていたのだが、1日目のMCでRYO-Zがその掛け声はリハーサルで生まれたもので、個人的にバカウケだったと説明。それが90年代ヒップホップからの引用であることが観客にイマイチ伝わってなかったと語ったところ、PESに「あなたみたいなヒップホップモンスターではないですから」とツッコまれ、まんざらでもない表情を見せていたのだ。ちなみに、「ヨー、アーイ!」の引用元は、ダグ・E・フレッシュが1993年に放った「I Ight (Alright)」という楽曲なので、RSフリークのみなさんはぜひお知りおきを。

3日間のMCで最も場内を沸かせたのはRYO-Zが初日に思わず発したひと言だ。アンコールの1曲目に「黄昏サラウンド」を歌ったあと(初日・2日目のアンコール1曲目は同曲)、その日の感想を語る場面で、PESが「最後の3日間ということで悲しんでいらっしゃる方もいると思うんですけどポジティブな方向(で捉えて欲しい)」と発言。その流れを受けてRYO-Zが「我々はコールドスリープならぬ、フリーズドライ」と発すると、場内は大爆笑。そして「みんなのレスポンスがお湯」と続けると、“RIP SLYMEをこのまま凍結させたくない”という観客の思いが、歓声と拍手となって場内を満たした。
そんな遊び心あふれるMCの一方で、メンバーは3日間の要所要所で感謝の思いを伝え続けた。ILMARIは最終日のMCで、「みなさんがこうやって集まってくれるところまで活動できて、一年全部が本当に良かったです。関わってくれたみなさんのおかげです」と語り、笑顔で「そして今日もめちゃくちゃ楽しい」と続けた。

SUはこの日、「JOINT」の途中の“Stop!”で音が止まるくだりで、「25年ありがとうございました」と静かに挨拶。一拍置いて、再び「ありがとう」とひと言だけ放ち、万感の表情を見せた。

今回のファイナルライブで披露された楽曲は、各日アンコールを含めて29曲。日替わり曲はゲストパートを含めて24曲に及び、最終日にはダブルアンコールとして「マタ逢ウ日マデ」が1曲追加。狙いか偶然か、25周年という節目をなぞる曲数になっていた。
この3日間で演奏した曲目数は、固定曲と日替わり曲を合わせると48曲。再集結以降のワンマンで披露されながら今回演奏されなかった「Hotter Than July」や「SCAR」「Supreme」といった楽曲を含めると、その数は74曲にのぼる。8年ぶりの活動再開からここまで、RIP SLYMEがどれほどの楽曲と向き合い、届けてきたのか。アンコールで披露された「Wonderful」では、1日目が銀色、2日目が銅色、3日目が金色のテープが噴射されたが、長年待ったオーディエンスのために多数の曲を代わる代わる披露してくれたRIP SLYMEにこそ、メダルを贈りたい。

鳴りやまない拍手に迎えられたこの日のダブルアンコール「マタ逢ウ日マデ」では、メジャーデビュー時を思い起こさせるオレンジ色のツナギを着て5人が登場。ラストヴァースでは客電が全灯するお馴染みの演出で、場内が白一色に包まれ、満員の観客の表情がはっきりと浮かび上がる。5人はその光景を見渡しながら、終わりゆく時間を噛みしめるように全身全霊でパフォーマンス。別れの寂しさと、それを上回る多幸感が同居し、最後は“笑顔のフェアウェルパーティー”となった。

楽曲を歌い終えた5人はステージ中央に集まり、互いを称え合うようにハグを交わした。そして、「運命共同体」のオーケストラバージョンが流れる中、ステージの右端と左端に移動して観客に手を振り、再び中央に戻って深々と頭を下げる。最後は登場時のリフトに戻り、RYO-Zが「お互い元気だったらまたどこかで!」とラストメッセージ。ゆっくりとリフトが下降していく中、SUの目には涙が浮かんでいた。
メンバーが去ったあとのスクリーンには、再集結後の1年間を振り返る映像と、この日のセットリストがエンドロールとして流れていく。BGMは「Hey,Brother」。SUが映画「RIP SLYME THE MOVIE -25th ANNIVERSARY GREATEST MEMORY-」のパンフレットで、「今の自分たちのことを歌ってる」と振り返っていた曲で、ILMARIも25周年を記念した”My Playlist” 企画でこの曲を選曲していた。
そのエンドロールでは、SUのクレジットがただ「SU」とだけ記されていた。再集結の際の“52歳中途採用”に始まり、「DANCE FLOOR MASSIVE FINAL」では“友情出演”、クリスマスライブでは“スペシャルゲスト”、今回の1日目・2日目では再び“友情出演”に戻っていた肩書きが、最終日のこの日、変わったことに、胸の奥がじんわりと熱くなったファンも多かったはずだ。
そして最後にスクリーンに浮かび上がったのは、恒例の「ADIOS」の文字と、「25年間ありがとうございました。」という手書きのメッセージ。その言葉に応えるように客席からは「ありがとう」の声が次々に起こり、RIP SLYMEを送り出す盛大な拍手が鳴り続けた。
この日に向けて駆け抜けた再集結イヤーは、RIP SLYMEらしい華やかなパーティーの高揚感と多幸感、そして達成感と確かな感動を残して見事に幕を閉じた。しんみりと終わらないこと。最後まで“楽しい”を貫くこと。その姿勢は、25年という時間を経ても変わらない。RIP SLYMEはRIP SLYMEのままで、ファイナルライブのステージを軽やかに去っていった。

3日間で約3万人を動員し、総応募数11万件以上を記録した今回のライブ「RIP SLYME 25th Anniversary GREATEST LIVE – Final Three Nights –」は、生配信・生中継、さらには全国の映画館でのライブビューイングも行われた。3月31日(火)まで、U-NEXTをはじめとする配信プラットフォームでは、3日間のライブをアーカイブ配信中だ。RIP SLYME 25周年のフィナーレをぜひ多くの方に見届けてほしい。(ライブ配信に関する詳細はこちら)。
文/猪又 孝
写真/砂流 恵介